書評 - 給与明細は謎だらけ


タイトルにひかれて読んでみました。

確かに、給与明細と言うか税金関係って分からないことが多いですよね。

源泉徴収とか所得税や住民税に社会保険、厚生年金とかとか。

よく耳にはするけど、具体的な数字まで頭に浮かべて説明することが出来るかと言うと出来ないものばかり。

私もやったことはないですが、給与明細に書かれてる税金や保険料の計算が合ってるかを検算したことってあります?

やったことある人ってそんなにはいないと思うんですが、そういう人たちを何も知らずに毛をむしられていると例えて「羊たち」と本書では呼称しています。

これが、全編に渡って羊、羊と記載されるので、その見下した感にいらっとはきますが、それこそが筆者からのメッセージなのだ。

日本のサラリーマンを「羊たち」と表現している箇所があるが、サラリーマンの方は怒らないでほしい。そこには、変わってほしいという願いがこめられているのである。

そんな本書ではあるが、内容はしっかりとしているし、読み応えのある一冊でした。

私も今回の独立にあたり、売上、収入、経費、所得、控除、こんな言葉を何度も何度も読んできました。

それでもまだまだ分からないことや知らないことがいっぱいあったと気付かされました。

例えば、基礎控除と言うものがあるのですが、これが存在する理由やその金額の根拠とか。

税制についてのとっかかりの勉強にはなる一冊だと思います。

これで概要を知り、更に詳細を知りたければ税理士に聞くとか別の専門書を見つけるとかの流れになるのかな。

また、中小ベンチャーではあまりないような制度に対する税制についても解説してくれているので、その点では知らないことを知れる機会にもなりました。

例えば、配偶者手当や深夜勤務手当、賞与、退職金等。

そういえば、前に知り合いからこんな話を聞いた。

「うちの会社さー、役員の一人がいきなり言い出して、今月の給料から強制的に5000円を退職金への積立に回されるんよ。やめて欲しいよなぁ、何考えてんだろなぁ。」

この時は、私も彼に同調し、意味わかんねーって言ってたのが、本書を読んでその役員の意図が分かった気がします。

退職金は、退職所得と言う扱いになり、これには、退職所得控除と言うのが適用されます。

この控除がかなり優遇されてるのである。

具体的な金額とかは面倒なので割愛するが、この税制のことを知っていれば社員からもそこまで批判の声は上がらなかったかもしれない。

この税制の話を具体的に説明した上で、強制ではなく任意にすべきだとは思うが。